金属のイオン化

金属はイオン化します。

さびといえば鉄です。鉄を例にとります。

鉄に亜鉛をコーティングしたものをトタンといいます。
鉄に錫(すず)をめっきしたものがブリキです。
どちらも錆対策で加工された身近な金属。

たとえば、トタン屋根とブリキ屋根が水に濡れた場合。
トタンが水に濡れると亜鉛(Zn)は亜鉛イオン(Zn2+)となって溶け出します。そうして、Zn2+が表層を覆うことで、軽く不溶性の酸化物となり、内部の鉄を保護し、ある程度丈夫な金属プレートとなります。
いっぽう海苔の缶などのブリキはスズ(Sn)のめっき膜を通して水が侵入し、イオン化傾向から第一鉄イオン(Fe2+)が溶け出します。

トタンにしろブリキにしろ、時間の経過で雨風にさらされれば錆が生じてきます。
そこでペンキが塗られ、保護膜を作っているわけです。
アクセサリーの金属も、汗の塩分によってイオン化するものもあり、それが体内に侵入し感作となるわけです。
プラチナは市販品はロジウムめっきされています。ホワイトゴールドやシルバーもめっきされているものがたくさん市販されています。けれどもこれらのめっきは指輪を使用するうち、やがてはがれて磨耗していきます。

ペンキのような保護膜を塗布せずとも、みずから保護膜を生成する金属がチタンです。
チタンは不働態を作ります。
金属表面が、外からの腐食が侵入できないような外壁のような膜を生成することを、不働態になったという言い方をします。

チタンはチタン自体の表層に、強い酸化皮膜を作る性質を持ち、その膜でチタン内部を保護する役割をします。