チタンのジュエリー素材としての価値

ジュエリーの素材として新しく進出してきている素材にレアメタルと呼ばれるチタン、タングステン、サージカルステンレスなどがあります。

チタンとタングステン、サージカルステンレス、どれが高級なのでしょうという質問を受けました。
プラチナが高級で金が若干下・・・みたいな序列的なものが新素材にもあるのかな・・・と
材質だけで価値判断できると思われる方もいるようですが。

ジュエリーとしての価値はそのデザインやどれだけ手が込んでいるかで付加価値がついてくるわけで、一概に材質が高価だからということは言えません。

貴金属でいえば、最も高い相場で取引きされるプラチナを筆頭に、金、そのあとに銀といった順番はあっても、ジュエリーとしては、ペラペラの粗末な造りの量産されたプラチナリングよりも、ゴールドのしっかりしたデザインの一点ものの指輪の方が高価な例も多々あると思います。

チタンとタングステン、どちらがえらい・・などと言うことはありません。
素材だけに関して言えば、チタンもタングステンもサージカルステンレスも、換金できる貴金属とは別物の工業製品の材質です。

結婚指輪の場合、永く着けるのだから耐久性も気になるし、丈夫で硬い方がいいという気持ちが働くもの。純プラチナ1000や24kゴールドはとてもやわらかく、ピュアが結婚の象徴と謳われるのとは裏腹に、とても歪みやすく日常で使ってしまうと数週間で変形してしまいます。ピュアで純度100%で丈夫な金属といえばダントツにチタンが揚げられ、傷になりにくく、変色しにくく、研究対象として申し分ないおもしろい金属がチタンなのであります。

強さを表すのに、「ゾウが踏んでも壊れない」とか100人乗ってもというのがありましたが、チタンも車にひかれても大丈夫とか劇薬でも大丈夫とかと言いたいところではありますが、果たして想定の必要があるかどうか。チタンは硫酸でも大丈夫なのですがチタンリングをはめて硫酸触っていいですとは言いたくありません(>_<)高濃度アルカリにと言う前に指輪より指が大丈夫ではないです。

売れるデザインと売りたいデザインと売りやすいデザインと売れ筋価格

売れるデザインとは

結婚指輪のデザイン。
マーケティングをして商品企画をして、デザインしながらも、過去の統計が頭に入っているので、それに基づいた方向で決められるので、市場に受け入れられないようなものは生み出さないかも。

作家によって、価格の決め方が違うわけですが、委託販売の作家からはとくに悩みのタネなのだと言われます。
動きやすい価格というのは手頃な価格とは異なります。
安ければ安いほど良く売れるわけではないし、安さを追及する人向けに作りたくないわけです。デザインを評価されたいわけで、気に入ってくれる人に出会いたいと作家は思って作っています。

ましてや一生ものの結婚指輪を「激安」と広告されているところをクリックするひとっているのでしょうか?検索の右側にでている広告のうたい文句には疑問。。。

作家のデザインの方向性によって、売れ筋はまったく異なります。
20ブランド、多いときで40作家の作品群をお預かりし委託販売し、毎日店頭にたちましたが、店内でぐるっと作品を見渡す来店客は興味があれば手をのばしてじっくり見られるようなしくみなのですが、作家ごとのカテゴリーでディスプレイせず、リング、ペンダント、ピアスごとの配置をしているにもかかわらず、同一の作家の作品を手に取りながらぐるっと回っていかれるわけです。
こちらは一切説明せずとも、お客様は自分の好みで自然と同じブランドのアクセサリーをひとつひとつ手に取って見て回る。鑑識眼を持ち、嗜好がはっきりしているということでしょう。売れるデザインとはそうした訴求力のある作品のこと、そのアピールが成功していること、受けてに伝わったもの。

プラスチックの逆襲という本を読みました。
デザインは価値を与える。
素材も価値を与えます。
天然素材の皮や木が本物で、プラスチックはニセモノ。まがいものといったイメージがありました。しかし現代には、かつての安っぽいプラスチックに代わって、金属にも負けないような機能性とデザインを備えた新しいプラスチック製品が日常に浸透してきています。
ただ単に、天然素材をプラスチックに置き換えただけだった昔、それはイミテーションの匂いがつきまとっていました。加工性のよさという利点だけで、デザインされていたのかもしれません。でも今のプラスチックはその特性を活かした家具も生まれています。

指輪サイズのきつさ加減

どのくらいのきつさ加減がベスト?

指輪のきつさの度合いはきつい、ゆるい、ちょうどいい
印象に残ってしまうのは、抜けなくなる恐怖ですか?

指はいつも変動があるのをご存じでしょうか?

指輪をはめたりつけたり何回も繰り返すうちにマッサージを続けたような血行の良い状態になります。
ほてっている時のサイズと、クールダウンしているときのサイズは増減があり、それは指だけではなく、足にも言えることで、安静にしている時と、運動時マックスのときとの差です。

ほてっている時に合わせない

ひとのからだはほんの10分もするとクールダウンします。
あわててほてっている時に、つまりマックス時に合わせて「きつい」という恐怖を取り除こうという気持ちになり、サイズを大きくしてしまって後悔しないように。
指輪はきつくても指輪として機能できます。
しかし、ゆるくて落ちそうになったらもう指輪ではなく単なる輪っかになって機能しなくなります。

指輪のサイズを測ることにかけては、自身がありますが、どうもひとによって
「きつい」の認識がかなり違っております。

サイズ8号の指の場合

7号と8号と9号をはめてみたとき、
7号できつい、8号でちょうどいい、9号だとゆるいということで
8号にフィットするように作るわけです。

ただ、8号ではきつい、
9号では抜けそう
というのは、8号が実はぴったりなのに、
抜けなくなったらお店のリングだし、こわいという気持ちが働き、
初めて来た知らないシルバーアクセサリーの店で、着けたことのない指輪をはめるわけですから
締め付けられたという勘違いになってしまうようです。

自宅に帰ってリラックスしていると指輪がゆるくなってくるという現象が
多々あります。
きつめでも、うっ血していなけれな大丈夫なのに、どうも
指輪を怖がる人が多いです。特に着け慣れないメンズに。

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ジュエリーにハンマー痕

たまには人間、毒も必要。
理路整然としたものばかりで、四角四面にとらえたことばかりでは
おもしろみもない。
エコを声高にさけんでみても、常に安全で清潔な無菌状態にいれば
逆に免疫力が低下してしまうのがにんげん。
几帳面に仕上がった清楚でシンプルな美しさには、物足りなさを感じるのは
どうしてか。
真っ白な障子に穴をあけたくなる、白い平面に点を見つけたくなる、
干渉の手ごたえをみたり、ダメージを与えたくなるのはどうしてか。
たとえば定番で平凡な結婚指輪にハンマー痕を味として加工することと似てはいないか。

チタンにダイヤを埋め込んだ

titanは硬く難切削材でダイヤなどの石留めできる職人さんはほとんどいない中、難しい加工を積極的に研究中。チタンリングに、ダイヤモンドを彫り留め。
シルバーよりも地色のトーンが暗めなので、無色のダイヤが一段と白く明るく輝き、チタンに入れたダイヤはコントラストで引き立って美しい。

ダイヤは無色のほか、ブルーダイヤ、ピンクダイヤ、ブラックダイヤがあるが、ブラックダイヤは不透明で反射が少なく、透明ダイヤの効果のように引き立たない。地色が暗いところに、ブラックダイヤが入るとかなりシックでブラックな印象が増す。

天然石には因縁が憑いてくるのでちょっと、とお考えの向きにはczキュービックジルコニアというのもひとつの手で、ダイヤ効果と同じ、チタンとのコントラストが映える。

石を埋め込むと、表面の密度がデザイン的に上がり、引き締まり、表面密度が上がるというか、完成度も上がります。ダイヤがアクセントになるよう計算された配置が必要で、形態やフォルムがジュエリーデザインだと思い込んでいたけれど、ダイヤモンドの美しさに近頃気付き始めやっとダイヤの輝きと指輪の楽しさも考慮したジュエリーデザインに興味が出てきた次第。。。

チタンパーツと布

制作のスタイル。
素材は違えど今思えば、制作スタイルには共通項も。
現在のチタンリングも、昔制作したインスタレーションも、振り返って見れば、パーツごとに作った要素を組み上げてひとつの作品に空間構築するスタイルを取っていたように思われ。。

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素材はチタンと柔らかい繊維とで、まるで違いますが、色や形でパネルを建てていく手法は同じ。予定調和的な形より、見たことも無い形を探りだすためかもしれません。パーツごとに作り貯めたものを組み合わせるうちに、意外なコンビネーションが生まれることも。

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チタン部品も、布や和紙の作品も、パーツ単体で転がっていてはがらくたのようなもの。
それぞれに役割を持たせ、支え合う役どころを与えることで、1個の構造体とする。

部品ひとつひとつが独立し、奇妙な空間を持っており、それらをまた組み合わせるとさらなる新境地に会えそう。

チタン結婚指輪を作り始める前はインスタレーション作家

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イタリア IL GIORNO紙 掲載。上記のような大型作品を手掛けていたのは1997年。チタンの結婚指輪のような、てのひらサイズの鍛金をやる前は、軽い素材(和紙や和布)で空間に吊り下げて作品を見せる形態。素材:ナイロン、シルク、和布、和紙、発砲染料、糸。

結婚指輪をチタンで

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チタンを手に入れるでも、チタンを手入れするでもなく、チタンに手が入ること

チタニウムは工業製品の素材で、ジュエリー、アクセサリーの素材ではありませんでした。チタンの硬さが手を拒み続けてきたため、チタンアクセサリーの歴史は浅く、携わる人もいませんでした。その硬いチタンに、手を加える、形を与え、削り、言うことをきかせるには特殊なデザインと加工性に対する深い造詣が無いとできない仕事。ねじやビスやワッシャーを削る工業製品にはありましたが、当時チタンはあまり知られていない金属でした。

ジュエリーの歴史からはみだして作りたいというあまのじゃくな性格がチタンへの探求心へのモチベーションになったと思います。