金属精錬と環境破壊とエボシとたたら場

もののけ姫をあらためて観て。
金属掘削から精錬までほとんど知らないでいる、考えないでいるのではないでしょうか。
今、結婚する年代の人は、学校でタンタルのはなし、紛争鉱物のはなしを習っていません。
20年前に銀ものというシルバーアクセサリーのムック本の雑誌取材に来た方が、シルバー925というのはあっても厳密に1000というのはないですよと言っても何で?どうしてと質問されました。
金属は鉱石から精錬されるのですから完璧に1000という数字は計算上であって、現実にどこまで行っても99.999999・・・・・・
となるので1000%というのはないわけですが、マグロが切り身で泳いでいると信じるように、金も銀もプラチナも金の延べ棒が土に埋まっているイメージしかないのかもしれません。日本は資源の無い国、だから材料を輸入して製品を輸出する国と習ってきましたが、
今の子どもたちは社会の授業で、コンゴ民主共和国とタンタルが携帯と関連付けられてイメージし易いような授業でグローバル化を学習しています。
金は1グラム抽出するのに1トンものアフリカの残土、コンゴ民主共和国の尾鉱をエコロジカルリュックサックとして背負っているのですが、日本は金粉とか金箔を食べるという世にもめずらしい人種です。アイスクリームにも金箔を乗せて百貨店で販売されたり、金はなにかおめでたいとかありがたいとか特別感を演出するアイテムとされています。実際には金を抽出する際に使われる大量の水銀で河から海、マグロから日本の食卓という濃縮連鎖があることを忘れ、金箔の乗ったおせち料理、恵方巻きもありますが、それらはからだを通って排泄され下水に流れていきますので、リサイクルはできません。ゴールドの結婚指輪ならリサイクルされますが。

テレビやアニメで慣れ親しんだ鉄人28号、マジンガーZからジャイアントロボ、ガンダム、鉄腕アトム。キカイダー、仮面ライダーベルト、超合金で出来ていたのか日本は農耕民族というイメージは定着していても、ロボットをかたどる金属がどこからどうやって誰が掘っているかを知りません。
もののけ姫のたたら場では児童労働が出てきませんが、実際現代の途上国の鉱山では少年も加わり鉱石が手で掘れられています。
ゴルゴ13には日本の商社がタンタルを買い付けにいく話が出てはきますが、金属精錬にスポットを当てて描かれているのはもののけ姫だけではないでしょうか?
もののけ姫の佳境に入ったところでアシタカが、エボシに「森とたたら場、双方生き残る道はないのか!」と叫ぶシーンがでてきます。環境破壊と鉱業、ともに生き残る道をほんとうに考えるには、まず結婚指輪の金属を血塗られた金属”3TG”を選んでいる自覚を持つ覚悟がいります。