チタンの良いところは純度と変色しないところ

チタンリングはシルバーリングのように変色はしない素材です。

純度の高い貴金属は普通、やわらかく加工しやすい分、傷つきやすく大切にしなければならないマテリアルですが、チタンは日常使いでも、過酷なスポーツにも耐える丈夫で強い素材です。純チタンでありながら、毎日の愛用条件をクリアーできる硬くて結婚指輪に適した素材と言えます。プラチナやゴールド、シルバーは大事にして傷がつかないように使わないと、がりがりに摩耗してゆきます。
その純度が利点のチタンに、最近コーティング、めっき、プレーティングといった、要するに別もので覆う処理をしたものを見かけるようになりました。ジッポなどの小物などです。せっかく天然の純チタンを人工的に被膜処理してしまうようなことになり、結果日々の愛用で傷がつき、剥げ落ちて、コーティングしなかった方がよっぽどきれいだったような状態になります。チタンはもともと銀のような白っぽい銀色とは違い、濃いめのグレーで、経年変化と毎日の愛用で、常に磨き抜かれた状態を保つ素材です。チタン製造の工場を経営するチタンおじさんによれば、「まったく使用せず、飾っておくだけだとグレーの明度が落ちていく」そうですが、チタンの指輪屋さんによれば、「着用していれば、変色が無い素材=経年変化でも明度は落ちない」との事です。

酸化とはさびのことですか?いいえさびではありません。向上だからです。

「酸化」することとさびることを同等だと考えてしまうと混乱が起きるもとです。くわしくはこちらに解説されています。
チタニウムが錆びるかさびないかという見解が真っ二つに分かれている理由

チタンは反応しない 体質に関係なく金属アレルギーに安心だと言える なぜならチタンは金属イオン化しないから

チタンと金属アレルギー

金属アレルギーに対する知識については常に更新され、研究され発表がなされています。それについて思うことがありますので書きます。

基本的に、あらゆる体外物質がアレルギー原因となる可能性があります。自然のお花も草も。

花粉やブタクサが原因の空気伝播性アレルギーのように、無害なのにからだが反応するわけは、それだけ人間に近いからだとか、接した経緯があったからだとか、どんどん身体に新しいものが入ってくるからアレルギーとなって現れるとかそういったおまじないのようなことでアレルギーが出てくるのではありません。

以前は、チタンと金属アレルギーの関係を、チタンがまだ感作例が報告されていないのは、人類にとって歴史がなく、日常品として出回っていない、接触してきた歴史が無いからと、まるで体質によっては同じ金属なのだからチタンもジルコニウムも今後百年もして、チタンのマグカップで飲み物を飲み、チタン製フライパンで皆が調理し、チタンチタンの生活になったら、チタンアレルギーの体質も出てくるかも知れないといった間違った知識でいました。

しかしこれはとても古く、あやふやな知識。

チタンの金属アレルギーが起こらない理由は、皮膚界面でチタンが無反応だから

金属が固体の金属のかたちのまま皮膚の中に入り込むことはできません。金属イオンになって金属から離れて皮膚に移動する必要があります。
ニッケルやクロムや銅などの金属は汗に含まれる塩素、乳酸などによりイオン化してしまうので、からだに入り込んでから、合う合わないといった体質との相性によってアレルギー作用が起こってしまいます。

屈強な防御壁≒酸化被膜を作るのがチタンの特徴

しかしチタンはまず皮膚界面でイオン化できない性質の金属なので、からだに入り込むことができません。金属イオンとなって皮膚に移動する前に、酸素分子が吸着してきて防御壁を築いてしまうからです。このような防御壁を酸素分子によって築く金属はほかにもあります。CDの表面に蒸着しているアルミニウムもチタンのようにレインボーになります。その防御壁の厚みの違いでシャボン玉のような光の拡散を生み出します。チタンのような被膜は他の金属にもありますが、チタンの場合はその壁の緻密さ、強靭さが違います。汗によって崩されるものではありません。
従いましてどんな体質でもどれだけ人体に関わってもこの先もチタンが皮膚によってイオン化できる環境がないので作用も起こらない、金属アレルギーが起きないのです。

一般の接触性皮膚炎にはいろいろな原因がありますが、T細胞が深く関わっているという研究結果がでています。
チタンをイオン化させることは自然界では起こりませんが、無理やり電離させるような外からエネルギーを与えれば塩化物によってイオン化させることはできますが、実験室で普通は手に入らない劇薬を使って装置を使う話と、皮膚の界面で起り得るイオン化の話をごちゃまぜにしていると勘違いがおこります。
チタンというのは酸素に親和性が強いことにより、酸素分子とくっついて、チタンが劣化されない防止膜を瞬間的に張り巡らしてしまう特性を持っています。この防止膜(酸化被膜)を汗の成分が突破できることはありません。チタンの酸化被膜を突破できるような強力な汗をかく人の手は、触る物すべてを溶かしていってしまうでしょう。電車の手すりも溶け、水道の蛇口をもとかしてしまうような手汗をかく人は存在しません。人の汗はだれしも同じpH値範囲内に保たれています。
皮膚科による接触性皮膚炎の解説
金属アレルギーをひきおこす病原性T細胞を発見

素人じゃわからないステルスウェルス?

デザイン

ちょっと見ただけじゃ気がつかないところに、プロの技が施されているところがとてつもなく贅沢。これみよがしにゴージャスに見せるのではなく、通にわかる品質の高さみたいなイメージ。

誰が見てもそれと気付くわかりやすさを優先しない、側面、裏面に気をつかった品質の高さ。

インスタレーションの作家活動をしていた当初、こだわっていたのはものの表面。絵の具のそのまた表面の薄皮のつら。裏面の無い造形を作りたかったが、できなかった。
そして、今もチタンの表面にこだわって結婚指輪を作り続けています。表面の被膜。
MONOマガジンから取材を受けたとき、チタンのどこに魅かれていますかとの質問に、こう答えた。「チタンは化学変化させることで、千変万化させられるところ」
これは、チタンの被膜、薄膜、つらの色のこと。
未だにものの表面と格闘し続けています。
kenmin012.jpg神奈川県民ホールにて
天井からつりさげるのに、クレーンに昇ってやりましたが、足がすくんでクレーンの先端のボックスから立ち上がれませんでした。電線を工事しているときのクレーンに乗っかってるおじさんはすごい。

結婚指輪とは日常

結婚指輪とは日常に沿ったもの。
国民的に読まれている書物というと、特別ハラハラするような仕掛けもなければ何か示唆を与えるでもなく、 どこにでもある日常の連続性の、ほんの半歩隣を描いた、チビまるこに匹敵するような設計。サザエさんも高視聴率。

結婚指輪のデザインに求められているのも、奇抜なもの、派手なもの、人目を惹くもの、気持ちをかきたてるものではなく、いつもそばに置きとどめたいもの。

話の急展開もいらなければ、オチも必要ない。

本やまんがを支える通といわれる人に支えられるヒットには日常という答えがあるようだ。
結婚指輪に「通」はいないけれど、日常身に着ける指輪には

いつも心地良い。
そんなデザイン、ストーリーに収束していく。

ストーリといえば、「奇怪な指環」という古い小説のような資料を国会図書館デジタルに見つけました。

結婚指輪をデザインする前に、カップルが来店し、どのような指輪が欲しいのかという最初の打ち合わせがあるけれど、こういうのが欲しいという要望の前に、まず結婚指輪が欲しいというコンセンサスができていないまま来店する珍しいカップルの例があった。たいがい、苦労して検索し、ここへたどりつくのに、まずは指輪がもしきつくなったらどうするのという、起こるかどうかわからない将来のリスクが先に立ってしまうという例。
それは家を買ったら地震がきたらどうしよう、車を買ったら事故を起こしたらどうしようという強迫観念に備えて保険というのにはいるのだけれど、指輪に保険というのは誰も考えていないのかもしれない。太ったら、その時は代償が大きいということ。今あるクローゼットの服はボタンが留められない、シャツのボタンも届かない、ズボンのチャックも上がらないくらいお腹回りが大きくなるのと同じ、下着もすべて入らないから買い替えなくてはいけない。最後は指も太くなるのだから指輪も入らなくなる。太ればそれは自分に跳ね返ってくるのだけれど、その時指輪屋さんはどうしてくれるんか。デザインよりそれを聞いてくるひとというのは、結婚したら離婚になったらどうしてくれる?という心配はしないで結婚できるのだろうか。

金属アレルギーの最初の感作のきっかけ

アレルギーというのは、前もって体内に取り込まれているアレルゲンに対して、身体が拒否反応を起こすわけですが、単に見に着けるだけのアクセサリーなのに、いったいどうやって体内に取り込まれてしまうのでしょうか。

    金属をアレルゲンとするアレルギーのきっかけと考えられるケース

  • 金属が汗などでイオン化して皮膚から取り込まれてしまう。
  • ピアスの穴をあける際、傷口から接触してしまう。
  • めっきされたアクセサリーが頻繁な使用により磨耗し、下地のニッケルが皮膚に接触し、汗によりイオン化して皮膚から侵入する。
  • 歯科治療で使用された詰め物の金属が口内から体内に入る。
  • 歯科で使用される金属はアクセサリー、ジュエリーの素材とまったく同じではありませんが、パラジウム、シルバーなどの合金という点で共通の素材です。

指輪が膨張してサイズがゆるくなることがありますか?

金属もガラスも気温に応じて膨張します。

例えば明治通りのビルとビルのあいだの入り口にある鉄の扉は、冬に設置されたのか、寒い季節は扉がぴったり閉まりますが、気候が暖かくなるとだんだんぴったりとはまらなくなり、夏のあいだは、戸締りしようにも鍵をかけようにもぴったりしまらなくなります。冬になるとまたもどり、夏にしまらないという状態を何年も毎年繰り返しています。
ガラスと接着するにも、ガラス用の接着剤でないと、膨張して割れることがあります。

確かに金属は膨張します。
指輪も同じように膨張しているかも知れません。が、ドアのように大きいものなら、数ミリ膨張することはあっても、指にはめる輪っかのサイズで、人体に感じられるようなサイズの膨張とまでは疑問で、あったとしてもナノミクロンの単位で、だと思います。
指輪が、指の体温で膨張する気がすると感じられた原因は、指の方のサイズが太くなったり細くなったりしているから。

結婚指輪の意味VS指輪を着ける意味

指輪を着ける指

指輪をはめる理由というのは、

  • 願いをこめたり、
  • 自分の気持ちをこめたり、
  • 記念の指輪として結婚をあらわしたり
  • と、ひとによってさまざまです。はじめて指輪を着けるなら、きっかけや意味が気になります。

    お気に入りの指輪が見つかり、常に指輪を着け慣れてきて、サイズと指輪の関係が最も着け心地を左右することがわかり、居心地の良い場所=指にとって最も快適なところを探しはじめると、指輪は隣の指へと移ったり、もともとはめていた指でないところに行き着くことがあります。

    結婚指輪は結婚して着け始めるわけですが、薬指でしっくりこなくなってくれば他の指に着けたほうがずっと機能的に愛用できる場合もあるのです。

    指輪の意味づけ

    結婚指輪だからといって、必ずしも薬指につける、この指にはこういう意味があるから指輪をはめるといった決まりごとはありません。自分のもっとも良い場所探しで落ち着いた指に指輪をはめてあとから意味を着けてもいいのではないでしょうか。

金属アレルギーの原因

金属アレルギーの原因となる物質は、アクセサリーの素材に含まれる金属アレルゲン。クロム、ニッケル、コバルトを筆頭に個人差があります。アクセサリーにはチタン以外、通常の貴金属は純金属でない場合が大いにあります。ゴム製品加工に使われる化学物質、漆に含まれるウルシオールなど。

アレルギー性皮膚炎を回避するには、アレルギーh原因物質を検査、特定し、そういう金属のアクセサリー、ジュエリーを身に着けないことで避け、金属がイオン化しやすい汗をかく時期には避け、冬だけ着けるといった工夫も必要です。

金属のイオン化

金属はイオン化します。

さびといえば鉄です。鉄を例にとります。

鉄に亜鉛をコーティングしたものをトタンといいます。
鉄に錫(すず)をめっきしたものがブリキです。
どちらも錆対策で加工された身近な金属。

たとえば、トタン屋根とブリキ屋根が水に濡れた場合。
トタンが水に濡れると亜鉛(Zn)は亜鉛イオン(Zn2+)となって溶け出します。そうして、Zn2+が表層を覆うことで、軽く不溶性の酸化物となり、内部の鉄を保護し、ある程度丈夫な金属プレートとなります。
いっぽう海苔の缶などのブリキはスズ(Sn)のめっき膜を通して水が侵入し、イオン化傾向から第一鉄イオン(Fe2+)が溶け出します。

トタンにしろブリキにしろ、時間の経過で雨風にさらされれば錆が生じてきます。
そこでペンキが塗られ、保護膜を作っているわけです。
アクセサリーの金属も、汗の塩分によってイオン化するものもあり、それが体内に侵入し感作となるわけです。
プラチナは市販品はロジウムめっきされています。ホワイトゴールドやシルバーもめっきされているものがたくさん市販されています。けれどもこれらのめっきは指輪を使用するうち、やがてはがれて磨耗していきます。

ペンキのような保護膜を塗布せずとも、みずから保護膜を生成する金属がチタンです。
チタンは不働態を作ります。
金属表面が、外からの腐食が侵入できないような外壁のような膜を生成することを、不働態になったという言い方をします。

チタンはチタン自体の表層に、強い酸化皮膜を作る性質を持ち、その膜でチタン内部を保護する役割をします。

指輪のほかにもあるアレルゲン

金属の指輪などのジュエリー以外で、日常生活で接触するアクセサリーに使われる革や繊維に使われる染料というのも、光によってアレルギーの感作性を示す物質があるので留意が必要です。

動物の牙のペンダントや動物の骨を加工したピアス
ペンダントネックレスに使われる革ひも、麻ひも
革を加工する際、染料が、革をなめす際にはクロムが使われています。それらが胸元で日光にさらされ、光エネルギーによって感作物質に変化することもあります。ネックレスに付着した香水に光が当たり、それが皮膚に接触してアレルギーを引き起こすこともあります。